2011-10-25

第五高炉








時は2009年春にまで遡るのですが、当時、千葉・蘇我にあるJFEの第五高炉が解体されるということを友人達から耳にし、半ば強引に日本鋳造株式会社社長の菅昌徹朗氏に頼み込んで見学と撮影にご協力いただきました(まさか花見の席で美酒ではなくこんな面倒を呑まされるとは社長も予想だにされなかったでしょう)。

































































本物の迫力は写真に納まりきるものでなく、背骨のような熱風炉、肋骨のような熱風管、縦横無尽に張り巡らされた鉄骨やダクトは腱や筋肉となって全てが生きているかのように存在しており、ほとんど畏怖を覚えながら息をひそめてシャッターを切り続けました。


廃墟ファンならば悶絶するほどの幸運に私たちは舞い上がらんばかりでしたが、操業停止から幾ばくか日も経ち、安全上万全とは言えない場所を案内するのは迷惑千万だったと思います。そんな厄介なお願いを聞いて頂いてまでしたこの貴重な体験を形に残したいと、その後、写真を編集して1冊の写真集にまとめました。

『第五高炉抄』







かつて、高度成長期時代、鉄で日本を作るという大きな夢を持った人々とその使命を背負った高炉という怪物がいたことが忘れ去られて行く中で、何が私たちの血肉となっているのか記憶に刻みたいと思ったのでした。

写真集にご興味ある方はご連絡ください。実費でお分け致します。