2011-12-01

五反田 Sweet Spots


五反田暦三十年の私がお気に入りの穴場をご紹介します。








西五反田の『かづ屋』は、ラーメン激戦区の五反田の中で私が最も愛するラーメン屋さんです。コッテリ背油やニンニクが苦手な女子に優しい、煮干しの深い出汁が出たスープは、疲れた体に染み渡ります。
人気のワンタンラーメンはモチモチした皮と、シンプルな具のコンビネーションが今時珍しいほど真っ当で味わい深いです。目黒不動にも広い店舗があり、そちらの方はテーブル席があるので親子連れも見かけます。
西口ゆうぽうと通り、スターバックスの並び。西五反田1−17−1









ダイニングバー『吟』は元鰻屋さん。数年前に桜田通りにあった鰻屋『いなげや』がこちらに移転し、夜は日本酒が飲めるお店に。
本格的なうな重はランチで今まで通り頂けます。五反田にうなぎ屋さんはいくつかありますが、小さい頃から慣れ親しんだ味はいなげやの味です。出前もやってくれますよ。肝吸い付きだとお椀とおすまし汁を用意して付けてくれます。
東五反田1−11−5 tel.03-3441-0404












ランチお弁当の強い味方。ただのコンビニではありません。このローソンではお弁当をここで作っているのです(たまに調理担当の白衣を着た人がレジに立つことも)。デザインセンターのスタッフが「たまにここの唐揚げ弁当が無性に食べたくなるんです。」と教えてくれました。
唐揚げの他にもカツレツ等、揚げ物がとっても美味しいです。コンビニ弁当と違って過度な化学調味料や保存料が入っていないので、捨てた数日後の匂いが違うんですよね(数日経ってもソース的な異様な匂いを発するコンビニ弁当に何が入っているのかが恐ろしいです)。つくづく、手作りに限ると思います。
夕方頃になると、小腹が空いた繁華街の人たちのためにスパムおにぎりなんかも並びます。場所は東五反田郵便局のそば、フレッシュネスバーガーの向かいと言えば分かる人には分かるかな?










本格珈琲でスペシャルな時間を過ごしたいならばここです。細い階段を下りると、飴色の木カウンターと、優しい光をたたえる漆喰の壁にかかる美しい銅版画は、雑多な五反田の異空間です。
魅力的な初老のマスターが入れてくれるネルドリップの珈琲は、最高級の美しい器で供されます。全てが贅沢なのです。永遠に五反田にあり続けていて欲しい隠れ家です。
『初心忘るるべからず』。
カフェ・トゥジュール・デビュッテ 東京都品川区東五反田5丁目27−12 03-3449-5491











デザインセンターもご紹介します。1階ブックスは、本だけでなく雑貨も豊富で、友人へのギフトを探すのにぴったりです。どれもメイド・イン・ジャパンなので、海外の友人に非常に喜ばれます。パッケージや包装が美しい物が好まれるようです。
実は子供用絵本やおもちゃ、日本製の木のベビー・キッズ用の食器等々もあるので、出産祝いやお誕生日祝いも探せます。近くのNTT関東病院に出産のお見舞いに行くついでに利用してもらえるといいですね。五反田にはちょっとオシャレな雑貨屋が実は無いので、穴場なんですね〜。
デザインブックス 東五反田5−24−19 03-3445-1341 
http://www.design-center.co.jp/shop_restaurant/book.html







3階のレストラン『イル・カヴァロ』は気の置けない友人達とのランチに。エレベーターからバリアフリーなので、子連れでバギーも入りやすいし、トイレにはおむつ替えシートも設置してあります(五反田近辺でベビーシートをお探しの時はお使いください!)。
外のテラス席ならば、子供がうるさくしても気になりません。壁側は全てソファー席なので、首もまだ座らないような小さい子を座らせる時はとても楽ですよ。
お料理はニョッキやフェットチーネが手打ち好きの私にはたまりません!!ランチのお肉コースは本格的な網脂包みのハンバーグやガッツリ系煮込みなどボリューム満点の一皿だったりするので男性も大満足です。
il cavallo  03-5420-2223
http://www.design-center.co.jp/shop_restaurant/index.html









最後に・・・おまけ。予約がとりづらくなったら残念なので名前だけ。デスクワークは目、肩、腰を酷使します。そんなときの駆け込み寺が指圧・整体の『ライフ治療院』。もう5年ほど通っています。いつもかなり強めにやってもらっているので涙目になりますが、終わったあと鏡をのぞくとスッキリ小顔に(!)。さほど顔いじってないのに・・・血行が流れるんでしょうね。小顔整体なんかより効きます。





2011-10-25

第五高炉








時は2009年春にまで遡るのですが、当時、千葉・蘇我にあるJFEの第五高炉が解体されるということを友人達から耳にし、半ば強引に日本鋳造株式会社社長の菅昌徹朗氏に頼み込んで見学と撮影にご協力いただきました(まさか花見の席で美酒ではなくこんな面倒を呑まされるとは社長も予想だにされなかったでしょう)。

































































本物の迫力は写真に納まりきるものでなく、背骨のような熱風炉、肋骨のような熱風管、縦横無尽に張り巡らされた鉄骨やダクトは腱や筋肉となって全てが生きているかのように存在しており、ほとんど畏怖を覚えながら息をひそめてシャッターを切り続けました。


廃墟ファンならば悶絶するほどの幸運に私たちは舞い上がらんばかりでしたが、操業停止から幾ばくか日も経ち、安全上万全とは言えない場所を案内するのは迷惑千万だったと思います。そんな厄介なお願いを聞いて頂いてまでしたこの貴重な体験を形に残したいと、その後、写真を編集して1冊の写真集にまとめました。

『第五高炉抄』







かつて、高度成長期時代、鉄で日本を作るという大きな夢を持った人々とその使命を背負った高炉という怪物がいたことが忘れ去られて行く中で、何が私たちの血肉となっているのか記憶に刻みたいと思ったのでした。

写真集にご興味ある方はご連絡ください。実費でお分け致します。


2011-06-30

MAME TALO マメタロ








三月吉日、東日本大震災を乗り越えて、小さな住宅が生まれました。名前はMAME TALO マメタロ。マメは『豆』。タロはフィンランド語で『家』。豆のように小さいけれど、中身がぎっしり詰まった家だという意味を込めて名付けました





玄関の土間は自転車やバギーを置いても十分な広さです。奥に見える扉にはユニットバスが隠れています。帰宅してすぐにシャワーを浴びることも、ペットを行水させることもできます







2階への階段の上は吹き抜けていて、上階から自然光が降り注ぎます







   
   










玄関の建具で仕切ることで、「土間」「洗面脱衣室」「玄関」の3つに分けることができますまた、土間部分だけを仕切るとギャラリースペースに。
冬の冷たい吹き込みも遮ります





1階。洗面、廊下、階段を見る




2階に上がると壁も柱もない開放的なリビング・ダイニング。








奥にパーティーテーブルのあるキッチン
















   



2階から3階を見上げると、寝室の上げ下げ窓が見えます。

























寝室の上げ下げ窓。開ければ吹き抜けを介して、階下とつながります。書斎や、子供のプレイルームにも。閉じればプライベートは空間になるけれど、開けっ放しで寝ていると気持ちいい風が通るのです。小さい家は工夫からアイディアが生まれるので設計も楽しいです。




























2011-02-16

フィンランドの夏の旅




今年の夏は、「一度でいいから静かな森と湖に囲まれたフィンランドの夏小屋で一夏を過ごしたい」という両親の夢を叶えるべく、かれこれ6,7年ぶりにフィンランドを訪れました。

まずは、首都ヘルシンキで写真家の友人に会うなり船に乗せられて向かった先は建築家マッティ・サナクセンアホが休暇で滞在する「ヴィラ・オイヴァラ Villa Oivala」へ。 フィンランド人建築家Oiva Kaillio自ら設計した、最高傑作と呼ばれるサマー・コテージです。SAFA(フィンランド建築家協会)が管理しており1週間単位で借りることが出来ます。しかし大変人気なので、毎年応募しても10年に1回ほどしか滞在する権利が回ってこないとか。




まずはマッティ自らシャンパン・サービス。気さくすぎる彼は、こう見えてもフィンランドを代表する建築家です。私を半年間、事務所に(ほぼ)雑用係として置いてくれた恩師でもあります。








数十平の小さな別荘で、フィンランド語で言うところのMokki(oはラウム。小さな家、小屋の意)。プランは単純なロの字型。このシンプルの究極のようなプランが非常に濃密な空間を生み、ロの字の外世界(森、湖)と内世界(中庭、生活)とが奇跡のような合致を見せるのです。とりわけ、ロの字の一辺に位置するダイニングを通して見る景色の美しさは人の心を揺さぶります。

写真が少ないのは、友人たちとの久々の再会に舞い上がってしまいすっかり撮り損ねたからです。次回行くチャンスがあれば三脚を担いでいきたいですが、ここへ連れてきてくれた写真家Jari Jetsonenの素晴らしい写真集があるので必要ないかな。





Finnish summer Houses by Jeri & Sirkkaliisa Jetsonen
東京デザインセンター(五反田)のデザインブックスで(取り寄せになるかもしれませんが)取り扱いあります。









そして、Mattiが戸外で燻製した魚料理にしばし舌鼓。フィンランドの最初の夜が更けていくのでした←白夜ですけれど。



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友人の別荘に招かれて何泊かを過ごしました。本棟に、ゲストルームの棟が付いた、L字型のコテージです。







友人のおじいさんが建てた別荘だと聞きました。場所は湖に突き出た小さな岬の先端で、三方が湖に囲まれた絶好のロケーションです。フィンランドではどの家族も、先代先々代から受け継いだ別荘があるので、国内に2つ3つサマーコテージを持っているのが普通です。近年は隣家が5,60mしか離れていずに建ち並ぶ別荘も目立ちます。しかし、もちろん価値があるのは開発前に大きく買った広い広い土地に他なりません。フィンランド人は「おがくずが流れる川(人が近くに住む場所)には住まない」というほどですから。ここも最初は電気も引かれていなくて、夜は自家発電だったそうです。今でも水道はなくて、湖の水を濾過してポンプでくみ上げて使っています。

湖に面してサウナ小屋があります。






サウナにはこのようなちょっとした前室があり、着替える他にも過ごしやすい工夫がされています。







サウナの火を熾すのは一家の主人の仕事です。小さな頃から仕込まれているので、どの木が火がつきやすいか、木の大きさの選別、温度の保ち方、あっという間にサウナ石を温める手際は見事です。サウナに入ると、サウナ石に水を掛けて蒸発させ、ミストサウナにして温度を上げていきます。



これは何かというと・・・







トイレです。水道もガスもないですから、もちろん下水道もありません。蓋をパッと開けて用を足したら藁や、下記の写真のバケツに入った土を掛けます。気温が低く湿度も低いからかほとんど臭わないです。日本のくみ取り式とはだいぶ印象が違います。

ここのはユニット式でしたが、フィンランド留学時代に測量で訪れた島では、学生皆で退去時に汚物と藁を燃やして自然に還しました。








出すものも自然に帰すけれど、入れるものも、自然の恵みからと言いたいところ。仕掛けを作って、夏の風物詩であるザリガニを捕らえようとなにやら家主が動き始めました。食いしん坊の私はザリガニと聞いて期待に胸を膨らませつつ、ザリガニ猟を見学。








プラスチックの網の中に、(これは私達が湖で釣った)魚を刺して、これを餌にします。









そーーーっと、これを湖の中へ。葦の生い茂る所にザリガニが集まるらしいです。これを数カ所に沈めました。一晩たって、翌朝引き上げてみました。しかし、とても残念なことに、一匹もかかっていませんでした。どうやら最近はなかなか釣れないそうです。環境のせいでしょうか?ああ、ザリガニ!残念。








↓写真のザリガニはスーパーで買った冷凍物です。









借りた別荘の周りの森で摘み取ったベリー。夢中で摘み取っていると、あっという間に時間が経ちます。








ここは私たちが自分たちで借りたコテージです。幾つか貸別荘のサイトがあり、簡単に借りられます。国有地内の貸別荘のサイトなどもあります。別荘で過ごす時間は、本を読んだり、釣りをしたり、ベリー狩りをしたり、ほとんどこの三つを順繰りに消化して過ごします。














夕方近くになったらサウナに入り、湖に入 りビールを飲んで白夜を満喫するのが一年の最高の贅沢なのです。なんと言っても一年の半分は暗い夜に閉ざされた冬なのですから、夏の楽しさ美しさは格別な ものだろうと、異邦人の私でさえ理解できるのです。