2007-12-19

クリスマス・イルミネーション合戦

12月に入り、暗くなるのもずいぶんと早くなりました。
追うように、クリスマス・イルミネーションも一気に街を彩り始めました。

クリスマスのデコレーションといえばヨーロッパが本場です。
この時期、楽しく飾り立てられた街を観光しに旅行される方もいらっしゃると思います。
日本も負けてない・・・と言いたいところですが、ちょっと目指すところが違うようで、ヨーロッパのそれが『ディスプレイ』『デコレーション』だとしたら、日本は『大道具』的な匂いが抜けないことは否めません。
しかしそれはそれで、クリスマスにこじつけつつも、個性豊かでちょっとオタッキーなイルミネーションが見られました。


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まずは六本木ヒルズのけやき坂。LEDの画期的な進歩によって、熱が出ずに電力も少ない樹々にもお財布にも優しいイルミネーションはもう恒例となりました。
白と青に彩られ、まるで雪景色のようです。
そして、今年は毛利公園の付近は赤い電飾で、クリスマスらしい風景を作りました。
やっぱり赤は女性の気持ちを高揚させてくれます。


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すぐ近くの防衛庁跡にオープンした東京ミッドタウンが初めてのクリスマスを迎え、気合いの入ったイルミネーションが見せてくれました。


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まずは『江戸切り子』をイメージ・ソースにしたというKIRIKO TREEは高さが8メートルもあり、色と光で『彩の世界~Irodori~』広場が華やぎます。
組まれた鉄骨の間には江戸切り子の代表的な柄がカッティングされたガラスが埋め込まれるという凝りようです。
東京ミッドタウンはサントリー美術館を擁すなど日本美術に強いという印象づける戦略を感じます。
広場では、無料でスタバのコーヒーが振る舞われたり、ジャズ・ライブが始まったりと、イベントが盛り沢山でした。

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このKIRIKO TREEから道路を挟んだ芝生に、青い発光ダイオードが敷き詰められていて、
幻想的な風景を作っています(『瞬の世界~Matataki~』)。
雪原?アメーバの増殖?星空?ここではクリスマス・ツリーは脇役です。
「(『風の谷のナウシカ』の)王蟲の大群みたい・・・。」と言う人も。

100mトラック(約2,000平米!)と同じぐらいの大きさの青い野原に、見る人は一様に
声をなくすほど見入っていました。
LEDはコンピューター制御されていて、10分に一度、アニメーションで流星が飛びます。

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こちらの写真は中央のガレリア付近。
オプティカル・ファイバーの垂れ幕に映像を映す、名付けて『煌の世界~Kirameki~』です。



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原宿の表参道ヒルズは、表参道に面した壁面のテレビジョンで映像を流しています。
全長数十メートルある画面にはバラや雪、リボンが現れ、クリスマス・モードを盛り上げます。
でも、もっともっとこの長さを生かして、ストーリーのある映像があると思うのですが。
行き交う人々が足を止めることが無かったのが残念です。


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内部の大階段には女性が大好きなスワロフスキー・クリスタルのツリーが飾られ、館内がいつもよりも圧倒的に明るくなっていました。
ツリーのデザインはシンプルで安藤忠雄氏設計の建築にマッチングしていました。



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老舗デパートメントがひしめく銀座は、毎年オーソドックスな正統派イルミネーションで賑わいます。
恒例のミキモトのクリスマス・ツリーや、ソニービルのツリーを模したデコレーション、三越の大型液晶画面ではクリスマス・ツリーのアニメーション映像を流していました。

番外編では駐車したバス丸々一台を使って某アーティストのクリスマス・ソングのプロモーション・ビデオを流すという物までありました。

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そんな中で、とりわけ目新しかったのは、今年リニューアルした松屋銀座がルイ・ヴィトンと共同で、大掛かりに仕掛けたイルミネーションです。
デパート一つ丸ごとにおなじみのモノグラムのマークがちりばめられルイ・ヴィトンのトランクそっくりに仕立てられました。
ビル全体が発光体となり、イルミネーションは30分ごとに変化します。

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ほとんどのイルミネーションはクリスマスまで、もしくは1月初めまでです。
その短い期間の東京は、都内の照明プラン事務所がアイディアを戦わせる戦場のようです。

そこまで取材出来ませんでしたが、横浜の某地区などでは、自宅を競うように電飾で飾り立てるので(写真で見る限り美的は言いがたいですが)遠くから見物客が来るほどということでした。
この辺りが、やはり『大道具』的というか『仕掛け』というか、日本らしいなあ。

しかし、もう東京の風物詩と言っても良いクリスマス・イルミネーション、一番楽しんでいるのは光溢れる2人だけの世界の住人、すなわちカップルでしょうね。
メリー・クリスマス!


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2007-11-18

女の園。サロン系料理教室の実態

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ここ数年、都心の女性の間ですっかり定着したのが”サロン系料理教室”です。
なぜサロン系と付くかといえば、自宅で開催されて少人数であること、そして
その住まいが、都心のタワー系マンションだったり、建築家によって細部まで
設計された住宅だったり、女性らしく花に囲まれていたりとまるでサロンのように
優雅な空間であるからです。
美しく演出されたテーブルセッティングや、インテリア、セレブな生活を色々と
覗けて、気分はもう『家政婦は見た』状態です。
家で再現させるかはともかくとして、テーブルクロスや造花、花器や食器の入手先
や取扱店もその場で聞けるのが助かります。
先生と全く同じ食器一式全てお買い上げするセレブ・マダムは実際に多くいます(!)。

2枚目の写真の先生は若い感性を生かした華やかなセッティングがお得意です。
”斬新なテーブルクロスだわ。どこのだろう?”と思っていると、「ハンズの素材
売り場よ~~」なんていうことが多く、決して出来合いの高価な物を使っている
わけではありません。
アイディアしだいなのですね。


ジャンルは、下拵えも簡単で食材も手に入りやすくCPの高いイタリアンの料理教室が
多いのですが、
フレンチや和食も人気です(意外と和食が少ないのが、私たちの悩みです)。
だいたい、料理の実習が1,2時間。前菜、お椀かスープ、メイン、デザートと、
4,5品は作ります。そして、そのあとにお楽しみの試食会です。
ワインや日本酒を頂きながら会話を楽しみ、美味しい料理をコースで堪能します
(試食と言っても、メインはこっちかも)。


実習で教わるのはレシピだけではありません。先生が普段使いする料理器具も
大事です。
例えば、いまや家庭でも珍しくはなくなってきたハンディ・フードプロセッサー
ですが、数社から販売されているので、どれを買うかはなかなか迷います。
そんな時、『バーミックス社とブラウン社とどちらが使い勝手がよいか?』と
いったことが、生徒も交えて熱く語られ、購買時の参考になります。


ある時は先生が四角い「せいろ」を使っていて生徒全員がその場で注文して
いたことも。
中華ならば円形が便利でしょうが、和食で魚の切り身を蒸すときや、松風風
にしたい時など四角く切りやすく、断然向いています。
一時は三越などで取り扱いがあったようですが・・・復活を熱望しています。


また、使ったことも見たことも無い道具をたくさん教えてもらいました。
『鬼おろし』やNYで人気の『マイクロプレーンのおろし金』、ちょうど流行り
だした頃の『ご飯用土鍋』、『京都のもりつけ箸』『竹のスクレーパー』などなど。

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一般家庭での出番は少なそうですが、なるほど、料理屋との違いはこんなところに
あったのだなと知りました。

昔ならば当たり前の道具なのかもしれませんが、現代ではもう廃れつつあります。
プラスチックに慣れて、日本の漆器や竹が、恐くて使えない若い人は本当に多く
なりました。
しかし、こうやって調理法を学びつつであれば私たちも生活に取り入れるきっかけ
が持てます。
店頭で「(漆器は)水に強いから大丈夫」と言われても営業トークとしか思えず、
値段も高価なことから躊躇してしまいます。
実際に使いこなしている人を身近に持つこと、それが大事なのだと思います。


このように、料理教室の先生や料理研究家から火が付いてその存在が知れ渡るように
なったのが『グローバルの包丁』です。
海外のシェフに愛されて逆輸入という形で日本に里帰りをしたのは有名な話ですが、
一般主婦に浸透したのは、カリスマ主婦でありイタリア料理研究家の有元葉子さんに
よってだと私は思っています。
彼女の道具通は有名で、『有元葉子の道具選び』(幻冬舎)を出版されたり、
ネットでは彼女の愛用品やオリジナルデザインを集めた調理器具のネット通販が
人気を博しています。


(写真は、リヨンで開催されたのシラ国際外食産業見本市にて。
2枚目はグローバルの(2代目)社長吉田金属工業の社長 渡辺 英世さんです)


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彼女たちのように『一般女性・主婦』に絶大な支持を得る方々に営業することが
大きな成果になると考えるのは当然の事で、料理教室の生徒さんには、自社製品の
まな板を使ってもらおうと売り込む方もいました。
そのうち、男性の方々も営業とリサーチ兼ねて通い始めたりして!?

私たちの辛口評価にも耐えられる商品、是非お待ちしております。

2007-10-18

新しい書道体験@恵比寿ガーデンプレイス

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2年ほど前から、書道を習い始めました。
きっかけは建物の地鎮祭や上棟式に使うお神酒の熨斗紙。『祝上棟 ○○設計事務所』などと筆書きするのが常識ですが、事務所で誰も筆で書ける者がいず、皆がこの仕事を押し付け合うのが毎度のことでした。そしていつも書かされるのはペーペーの私。へたくそな字で書かれたものを祭壇に祀られるのが恥ずかしくて恥ずかしくて。いつか、立派な字で書きたいものだとずっと思っていたのでした。残念ながらその機会がまだ無いのですが・・・。

さて、ここ数年『書』がブームです。そもそもは、欧米での『漢字ブーム』が逆輸入した形なのではないかと思いますが、若い書道家が人気を集めています。そんな、新しい世代の書道家を集めてのイベントが恵比寿ガーデンプレイスで9月末から10月始めまで開催されていたので足を運びました。

私が訪れた日は、ちょうど<蒼風先生の青空書道体験教室>が広場で開催されていました。
参加者に渡されるプリントには『心』『愛』といった漢字が十数字と、その字の成り立ちが書かれています。参加者は、そこから一字を選び、筆にしたためます。どの字を選ぶのか、その字に込められた意味、丁寧に筆で書くことで、書道を通して一字を書くことの楽しさを味わおうという企画です。参加者は小学生の親子連れが目立ちました。ガーデンプレイスにお出かけ服で来たのでしょう。服を汚させまいと必死な親を尻目に、子供たちは夢中です。迷いの無い筆運びに唸ります。

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他にも企画があり、楽器演奏者とのコラボレーションやパフォーマンス書道など、書道家というよりも、まるでタレントのよう。実際、美男美女であることにも驚かされます。一昔前の書道家のイメージ、例えば井上有一氏のような全身書道家といった近寄りがたさはなく、華やかではありつつも親しみやすさがあります。先日もテレビのバラエティに若い書道家が出演していましたし、若い層は、今までの習い事としての書とは違う、アートのような感覚で捉えている気がします。

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私も学生時代の書道の授業は退屈でたまりませんでしたが、それはアウトプットの場が想像できなかったから。書を書くのは半紙に限ったことではありません。少し工夫することでぐっと面白くなります。最近は、海外でお礼したいときなどにちょっとした絵手紙を残すため、必ず筆ペンを携帯しています。

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2007-10-03

本物の朱肉

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先日は落款のことを書きましたが、今日は『朱肉』のお話。
朱肉も突き詰めて行くと本物を手にしたくなってきます。化学インクでも事足りるけれど、本物といえば顔料と膠などを混ぜて作った練り朱肉に尽きます。
この朱肉たちは銀座コマツ内の『和の扉』というお店で見つけました。
色が様々用意されており、黄色や茶色なんていう珍しい色まであり、『瑞祥』『鳳凰』『猩々』『金華』『陽華』『黄華』と、それぞれ和名が付いています。
ねちゃねちゃと柔らかくネットリとしているので、押し付けずにチョンチョンと小刻みに軽く付けるだけで十分朱肉が乗ります。
こってりとした質感は、和紙の凹凸によく馴染みます。
和文具の長所は、『本物』が意外と生活の近くにあること。この、本物、というのは日本の自然と文化の中で培われて来た本物、という意味。道具の良さは何百、何千と見ないと分かって来ないものです。せっかく日本には良い道具が数多あるのだから、目の肥やし甲斐があるというものです。

これでお気に入りの落款をポンと押せば、二割増しならぬ、三割増し、かな。

2007-09-23

FUJI ROCK フェスティバルが目指すこと

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このブログをご覧の方々のほとんどが東京在住、しかもアンテナの高い方々
なので、何を書いても「もう知ってるよ」と突っ込まれそうで、書いてはボツ
の繰り返しです。

しかし、まさか、フジ・ロック・フェスティバルなどというロック音楽の
祭典に出向いた方はそんなにはいらっしゃらないのではないでしょうか・・・。
もう10年以上続いているこのロック・フェスティバルは、今は新潟県の
苗場スキー場で7月の終わりの4日間、開催されています。

このフェスティバルが面白いのは、ゴミの分別が徹底されており、欧米の
こういったフェスが『ドラッグ・混沌・狂乱』の様相を博すのに対して
『安全・エコロジー・癒し』という特色を押し出している点です。

ペットボトル一つを取っても、蓋と、周りのビニール、ボトル本体の3つ
に分解してから捨てなければなりません。
これらはリサイクルされ、来年のトイレットペーパーの材料になります。

分別ゴミ箱の横にペットボトルの集積場があり、如何に自分たちが大量の
ペットボトルを消費しているかを見せつけられ、考えさせられます。
その横には、その膨大なペットボトルを使って大きな彫刻アートを作って
いました。
キラキラと日差しを受けて反射する、竜のようなモンスターは、来場者と
スタッフの善意で形作られたハッピー・ドラゴンなのです。

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会場内にも沢山のアート作品が点在し、10近くあるステージそれぞれも、
色で呼び方が分けられていたり(例:グリーン・ステージ、オレンジ・コート、
他)演奏される音楽に応じてデザインが違って、屋台を彩る装飾なども目を
楽しませてくれます。

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イマドキの若者はセンスが良いなー、と感心するだけではなく、実際に
芸術や自然を愛する国民性をここから発信しているのは間違いないようです。
評判を聞きつけて、日本の山奥でアクセスが非常に悪いにも関わらず、
海外から来る来場者もかなり多いです。
ストレスや不満の発散の場ではない、純粋に音楽を愛するフェスとして親し
まれています。
ここに来るために1年間頑張れるというサラリーマンもいるほどです。
確かに、森の中にメロディーが溶け込むかのような瞬間、心が解放されるのです。