原宿生まれ東京育ちの建築家の日常やら非日常やら。 Daily life and Non-Daily life of Young Architect living at Tokyo.
2008-04-14
15 Horisons
先週4月3日から8日まで新宿OZONEにて日本とフィンランドを繋ぐ小さな展覧会にフィンランド人の友人に誘われました。フィンランドのヘルシンキ芸術大学に留学していた経験を持つ15人のデザイナーが出ると聞いて興味が沸き、オープニングパーティーに行って参りました。
15Horizons?New Japanese design from Finland展
http://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/520.html
ヘルシンキ芸術大学の学生の、なんと、20%が留学生。そのうち、日本人の割合も存在感も大変大きいそうで(毎年日本人留学生が平均15人も入学するそう)、それが今回の展覧会に繋がったようです。ヘルシンキのインターナショナル化はどんどん進んでいますね(フィンランドは学費が全て国費なので外貨が欲しいのもありますが)。もともと人口500万人しかいない小国なので優秀な人材を外国から輸入し続けることが必要です。今、日本人の友人がノキアのデザインチームで働いていますが、マネージャー以外は全員外国人だそうです。
どれも実に丁寧に作られていて、温もりのある木の素材が使われていたり、優しいナチュラルな色合いは北欧で学んだことを根強く感じます。
そのうち気になった物を何点か。
いきなりですが・・・
マンガです。イラストレーター坪井ねね氏。ヘルシンキに居を移した彼女は、すでにちょっとした有名人らしいです。これは日本の漫画を紹介したマンガ、です。可愛いのに、ちょっと毒のある、お子様には見せられないページもある!?内容です。シャイだけど悪ふざけが大好きなフィンランド人なら夢中になるでしょう。
絵画をプリントした壷。
形は先史時代の土器で、柄はフィンランド国立博物館所蔵の17世紀の絵画です。何千年年もの隔たりのある『モノ』を融合させた80年生まれの蔵原智子氏の軽やかさに新鮮味を感じました。プリントの精度に技術的な問題がありましたが、そのレプリカっぽさも折り込み済みでしょうか。
中には、アラビア社から製品化された物もあり、日本人学生のレベルの高さが窺えました。ここに並んでいなくても、今、日本や世界で活躍されているデザイナーは沢山いることでしょう。この2つの国の相性は、本当に良いと思います。大自然の中で、酸素いっぱいの空気を吸って生み出した日本とフィンランドの融合を見ることができました。
魅力的なこちらのお二人
右は今回誘ってくれた友人のAnni。artekアルテック社にお勤めです。来週のミラノ・サローネにも出張するそうで、再会を誓いました。左は代官山の家具屋Collexコレックスのバイヤー、嶋田葉子さんです。国内外の、ちょっと北欧テイストの家具や食器、雑貨を販売していましたが、この度、オリジナル家具を出されるそうです。「家具や物を売る中で、どういったニーズがあるのかが見えてきました。」と、控えめながら自信のある発言。日本人は要求がとても細かいし、輸入家具がそのまま持ち込める環境(部屋の狭さや体格など)にありません。そんなお客様とのやり取りで培われた販売の現場の声が直でデザインに生かすことができるのは強みですよね。
2008-04-04
小春日和をロマンスカー60000系MSEが駆け抜けた
この春先に始動したロマンスカー60000系MSEに試乗させて頂きました。『鉄』(鉄道ファンのこと)なら泣いて喜びそうなこんな機会、滅多にないので心躍らせて行って参りました(前回のVSEの試乗には予定が合わずに乗れなかったのでリベンジです)。
数年前に鮮烈にデビューしたロマンスカー50000系VSEのその優雅なインテリアとガラス張りのコックピットのような先頭車両はまだご記憶に新しいと思います。その設計をされた建築家・岡部憲明氏が、今回もまた新しいロマンスカーを設計しました。車両は日本車輌、コンピューターは三菱、制御装置は東芝というハイブリッドの集大成です。
新車両のMSEと旧車両です(車庫の都合で最後尾の写真しか取れませんでした)。
顔はスッキリとした面長で赤いLEDライトが鋭く光り、精悍な若侍といった印象です。観音開きのドアも特徴的です。
いよいよ乗車します。
内観はVSEと同じく天井高が高く広いです。それは、普通は天井裏にある空調機やダクトを脇に寄せたからです。
このMSEは、箱根と結ぶ特急VSEの精神を引き継ぎ、東京メトロ千代田線に乗り入れるために改良されました。地下に乗り入れるということで大きく制限されたのが、防炎性能を高めなければならないということでした。数年前の韓国の地下鉄炎上事件をきっかけに、とても厳しくなったそうです。VSEでは不燃加工された木材が使われていましたが、それも認められず、アルミ合金製に変わっています。
什器にFRPを、リサイクル出来る事を考えて、使用していないそうです。
人間工学に基づいたシートの座り心地は抜群。リクライニングせずともゆったりと寛げます。
こちらは車イスの方など四肢にハンディのある方々のための座席。肘掛けが上がります。1車両に2席用意があります。
連結部分も段差が無く、トイレもバリアフリー仕様です。
通路は緩やかにS字カーブをしていて、様々なシーンを演出します。本当に良くデザインされていると思います。どこかのホテルにでも来たような錯覚を覚えます。
LEDはVSEと同じですが、カバーがアクリルからガラスになっています。燃焼した時にアクリルだと溶けて落ちて人体に害を及ぼす可能性があるからだそうです。
運転士室を公開。
黒を貴重にしたインテリアは、渋くて、子供でなくても一度座ってみたいと思うはずです。背もたれに制服のジャケットをかけるハンガーが付いているところが憎いですね。
この度、喜多見駅の車庫から出発して唐木田駅までとの往復3時間弱。実に静かな駆動で、まるで泳ぐが如く小春日和の武蔵野を駆け抜けました。しかも、各駅では試乗運転を事前に知った沢山の鉄たちと子供たちがカメラを構えてMSEを迎えてくれるのです。しかし、待ってくれていたのねと嬉しくて手を振っても、彼らは正面を撮り終えたら間髪入れずに後ろ姿を撮るため猛ダッシュで走り去り、応えてくれることはなかったのでした・・・。
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