2007-10-18

新しい書道体験@恵比寿ガーデンプレイス

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2年ほど前から、書道を習い始めました。
きっかけは建物の地鎮祭や上棟式に使うお神酒の熨斗紙。『祝上棟 ○○設計事務所』などと筆書きするのが常識ですが、事務所で誰も筆で書ける者がいず、皆がこの仕事を押し付け合うのが毎度のことでした。そしていつも書かされるのはペーペーの私。へたくそな字で書かれたものを祭壇に祀られるのが恥ずかしくて恥ずかしくて。いつか、立派な字で書きたいものだとずっと思っていたのでした。残念ながらその機会がまだ無いのですが・・・。

さて、ここ数年『書』がブームです。そもそもは、欧米での『漢字ブーム』が逆輸入した形なのではないかと思いますが、若い書道家が人気を集めています。そんな、新しい世代の書道家を集めてのイベントが恵比寿ガーデンプレイスで9月末から10月始めまで開催されていたので足を運びました。

私が訪れた日は、ちょうど<蒼風先生の青空書道体験教室>が広場で開催されていました。
参加者に渡されるプリントには『心』『愛』といった漢字が十数字と、その字の成り立ちが書かれています。参加者は、そこから一字を選び、筆にしたためます。どの字を選ぶのか、その字に込められた意味、丁寧に筆で書くことで、書道を通して一字を書くことの楽しさを味わおうという企画です。参加者は小学生の親子連れが目立ちました。ガーデンプレイスにお出かけ服で来たのでしょう。服を汚させまいと必死な親を尻目に、子供たちは夢中です。迷いの無い筆運びに唸ります。

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他にも企画があり、楽器演奏者とのコラボレーションやパフォーマンス書道など、書道家というよりも、まるでタレントのよう。実際、美男美女であることにも驚かされます。一昔前の書道家のイメージ、例えば井上有一氏のような全身書道家といった近寄りがたさはなく、華やかではありつつも親しみやすさがあります。先日もテレビのバラエティに若い書道家が出演していましたし、若い層は、今までの習い事としての書とは違う、アートのような感覚で捉えている気がします。

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私も学生時代の書道の授業は退屈でたまりませんでしたが、それはアウトプットの場が想像できなかったから。書を書くのは半紙に限ったことではありません。少し工夫することでぐっと面白くなります。最近は、海外でお礼したいときなどにちょっとした絵手紙を残すため、必ず筆ペンを携帯しています。

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2007-10-03

本物の朱肉

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先日は落款のことを書きましたが、今日は『朱肉』のお話。
朱肉も突き詰めて行くと本物を手にしたくなってきます。化学インクでも事足りるけれど、本物といえば顔料と膠などを混ぜて作った練り朱肉に尽きます。
この朱肉たちは銀座コマツ内の『和の扉』というお店で見つけました。
色が様々用意されており、黄色や茶色なんていう珍しい色まであり、『瑞祥』『鳳凰』『猩々』『金華』『陽華』『黄華』と、それぞれ和名が付いています。
ねちゃねちゃと柔らかくネットリとしているので、押し付けずにチョンチョンと小刻みに軽く付けるだけで十分朱肉が乗ります。
こってりとした質感は、和紙の凹凸によく馴染みます。
和文具の長所は、『本物』が意外と生活の近くにあること。この、本物、というのは日本の自然と文化の中で培われて来た本物、という意味。道具の良さは何百、何千と見ないと分かって来ないものです。せっかく日本には良い道具が数多あるのだから、目の肥やし甲斐があるというものです。

これでお気に入りの落款をポンと押せば、二割増しならぬ、三割増し、かな。